アメシストの特性、特徴、希少性、石にまつわる伝説について

ウガンダ産 アメジスト
ローズ・ド・フランス アメジスト
マルチカラー アメジスト
アメシスト 2月の誕生石
原産地 ブラジル、ケニヤ、マダガスカル、ウルグアイ、ザンビア
ピンクがかった紫色から紫まで
属性 クオーツ
硬度 7.00
屈折率 1.54 - 1.55
比重 2.65

グレープジュースが好きだったことで知られるディオニュソスは、ギリシャ神話に登場するワインの神です。しかしゴブレットで何杯か飲んだだけで、少々喧嘩早くなってしまったそうです。ある日、ゴブレットを片手にほろ酔い機嫌で森を歩いていたディオニュソスは、通りがかった人間が自分に敬意を示さなかったので侮辱されたと思いました。ディオニュソスは憤り、次に出会う人間に復讐することを誓ったのです…。

そこへやってきたのが美しい娘アメシスト。女神ダイアナに捧げ物をしに行くところでした。ディオニュソスはアメシストを復讐の相手と決め、指を鳴らして2頭の獰猛な虎を呼び、アメシストを食べさせようとしました。ディオニュソスが見物を決めこんで座ると、アメシストは女神ダイアナに助けを求めました。その様子を見たダイアナは、アメシストを真っ白にきらめくクォーツの像に変えて、獰猛な虎から守りました。
ディオニュソスは罪悪感に襲われ、自分の冷酷な行いを悔い、悲しくなって涙を流しました。涙がゴブレットに落ちるとディオニュソスは崩れ落ち、涙混じりのワインがアメシストの像にかかりました。白いクォーツはワインの色を吸って、今日私たちがアメシストと呼ぶカラー・ジェムストーン、神のジェムストーンとなったのです。

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伝説

アメシストの起源にまつわる神話からしても、このジェムストーンがかつて酩酊を防ぐお守りと考えられたことや、ワインのゴブレットがアメシストで作られたということも、もっともなのではないでしょうか。
古代ギリシャ人はしばしば他の言語の単語からおもしろがって言葉を作り出したようですが、もしかしたらヘブライ語で紫色の宝石を意味する「アクラマス」を変換させて、「酒に酔っていない」という意味のギリシャ語「アメテュストス」という言葉を作り、それが現在使われているアメシストという言葉になったのかも知れません。伝説では、この言葉は文字通りに受け取られ、まるでギリシャ人は本当にアメシストが酩酊を防ぐと考えていたかのようです。

アメシストの紫色は、昔から高貴なもののシンボルと考えられてきました。ファラオも王も女王も、宗教の宗派の指導者たちも、古くからアメシストの豊かで高貴な色を尊んできました。興味深いことに、この紫色への敬意はローマ時代にまでさかのぼり、勝利を祝う将軍たちは(のちには戦いに加わらなかった皇帝たちも)、「トーガ・ピクタ」(金色の刺繍をほどこした明るい紫色のトーガ)を着たということです。

アメシストは禁欲を支えると考えられているので(酔いからさます効果だけでなく、欲望による興奮からもさますということ)、中世のカトリック教会の装飾において重要な役割を果たしました。「ローマ教会の石」とみなされてきたため、今日でも司教はアメシストの指輪を身につけています。
そのほかにも、15世紀にはアメシストは様々な性質があるとされました。レオナルド・ダ・ヴィンチ は、アメシストは邪悪な考えを追い払い思考力を高めると書いています。また、商人には商売の才覚を与え、兵士は怪我から守り、狩人が野生動物を捕らえる手助けをしてくれると信じられていました。装飾品としての歴史は、ギリシャ時代(紀元前およそ2500年)のミノア文化にまでさかのぼり、カボションカットを施され、金の指輪にはめこまれた物が発掘されています。19世紀には、アールヌーボーのジュエリーに使われ、人気を呼びました。

アメシストについて

アメシストは顕晶質(結晶の大きい)のクォーツ で、鉄分とアルミニウムから生まれるその色は透明なパステル調のローズ色から深い紫色、菫色まであります。

ほかの多くのジェムストーン同様、アメシストの品質はその産地によって様々に異なります。アメリカ大陸産のアメシストには大きな物が多いのに対して、アフリカ産のアメシスト(特にマダガスカルやザンビア産の物)は比較的小さいものの、彩度が高いのが特徴です。色が濃く、彩度が高いアメシストはオーストラリアとスリランカでも採掘されています。歴史的に有名なシベリア産の物は深い紫色で、時おり赤や青の光を放ち、非常に価値があります。しかし、最も生産量が多いのはブラジルで、ディオニュソスのワインが本当にアメシストの色のもとだとしたら、ブラジル産のアメシストはヴィンテージワインで出来ていると言えるでしょう。

ブラジル産のアメシストが最初にヨーロッパにもたらされたのは1727年で、瞬く間に流行し、高価なものになりました。アメシストは18世紀のフランスとイギリスで特に人気が高く、裕福な一族の多くがこのジェムストーンに大金を投資しました。たとえば、イングランドのジョージ三世の妻であったシャーロット王妃は、アメシストのネックレスを大変高い値段で買ったそうです。

ブラジル産アメシストの主な産地はミナスジェライス、バイーア、そしてマラバーです。隣国のウルグアイでも、目を見張るばかりに美しいアメシストが見つかっています。ローズ・ド・フランス・アメシスト(ラベンダーアメシストとも呼ばれる)は、パステル調のライラックのような色彩をしたブラジル産アメシストです。ローズ・ド・フランス・アメシストはヴィクトリア時代には大変人気のあったジェムストーンで、アンティーク・ジュエリーでよく見かけますが、最近のパステル調ジェムストーンの人気で、また注目を浴びています。

バイカラーアメシストは、アメシストの気高いラベンダー色と、白色水晶の氷のような白が、美しく融合したジェムストーンです。バイカラーアメシストは、形成の途中で環境の変化が起きたためにできたものです。色の元となる物質(鉄分)は、結晶の中に入る時期によって異なる色の層を作り出します。この性質を意図的に利用してカットされるのがバイカラーアメシストで、異なる色のコントラストの良し悪しによって価値が決まってきます。ふたつの色になるようにジェムストーンをカットするということは、職人にとって難しいことで、きれいにカットするのが非常に困難であると言われるだけに、出来栄えの良いバイカラーのジェムストーンは実に美しいものです。