ダイヤモンドの特性、特徴、希少性、石にまつわる伝説について

ダイヤモンド | 4月の誕生石 |
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原産地 | アフリカ |
色 | 多様 |
属性 | 炭素 |
硬度 | 10.00 |
屈折率 | 2.41 - 2.42 |
比重 | 3.53 |
ダイヤモンドという名前はギリシャ語で「征服されざる」、「無敵の」という意味の「アダマス」からきています。
シャーリー・バッシーは「ダイヤモンドは永遠に」と歌い、マリリン・モンローは「女性の最良の友」と言いました。歌の中で讃えられてきたダイヤモンド(4月の誕生石)は、20世紀に最も注目される宝石となりました。
伝説
ダイヤモンドにまつわる神話や逸話は、文化や大陸の枠を越えて伝えられています。
ダイヤモンドに関する世界最古の記述は、インドのサンスクリットで手書きされたもので、マウリヤ朝(紀元前322年から185年)のチャンドラグプタ王の宰相カウティリヤが書いた『アルタシャーストラ』(『実利論』)です。プラトンはダイヤモンドを生き物としてとらえ、宇宙の魂が形となったものと書いています。
ローマ時代の文書にダイヤモンドについてのはっきりした記述が初めて登場するのは、紀元後一世紀、インドで発見された沖積鉱床のダイヤモンドについてです。古代ギリシャやローマの人々は、ダイヤモンドを神々の涙や流れ星のかけらだと信じていました。キューピッドの矢の先にはダイヤモンドがついていて、比類のない魔法が宿っていると思われていました。ヒンドゥー教徒は、ダイヤモンドは稲妻が岩に当たってできたものだと信じ、彫像の目にはめこんだりしました。
ユダヤ教の位の高い聖職者たちは、被疑者が無罪か有罪かを決める時にダイヤモンドに頼りました。ダイヤモンドを被疑者の前に掲げ、曇って暗くなったら有罪、輝きを増したら無罪としたのです。
ローマ人はダイヤモンドには人生の問題を解決する魔法の力があり、戦いの時に身につけると、何にも負けない力と勇気を与えてくれると思っていました。
古代の王たちは軍を率いて戦いにのぞむときにダイヤモンドなどの宝石をちりばめた重い革の胸当てをつけました。ダイヤモンドには、神から授けられた魔法の能力があり、人間の理解を超えた力を宿していると考えたからです。そこで兵士たち は、王や位の高い者など、不思議なダイヤモンドの胸当てをした人物に近寄らないようにしました。
フランスでは、ルイ9世(1214‐1270)が節倹令を定め、ダイヤモンドを王の管理下に置いたことからも、この宝石の希少性と価値が認められていたことが分かります。
14世紀までは、ダイヤモンドは力と勇気と無敵さの象徴であったため、王だけが身につけることを許されました。14世紀にはヨーロッパの王家の宝器やジュエリーに、少数のダイヤモンドがパールの中にアクセントとして使われるようになりましたが、格別に大きく質の良いダイヤモンドを所有することは、王家や特に裕福な一族の特権でした。例えばロシアの大帝エカテリーナ2世(1729‐1796)の王冠には、4936個のまばゆいダイヤモンドがはめこまれています。
中世とルネッサンス期には、宝石をはめこんだ指輪は、ジュエリーと言うよりも、身につける者に魔法の力をもたらしてくれるお守りとして考えられていました。ダイヤモンドのついたゴールドリングを左手にすると、悪夢を追い払い、悪魔や幽霊を退け、獰猛な野獣をおとなしくさせることができると信じられていました。家や庭のすべての角をダイヤモンドでなでると稲妻や嵐、葉枯れ病から守るといわれ、ダイヤモンドは美徳や寛大さをもたらし、精神病を抑えるとも言われています。ダイヤモンドは、幸運と成功を呼ぶだけでなく、占星術の影響から身を守ってくれると、広く信じられていました。
ダイヤモンドについて
宝石好きなら、ダイヤモンドの価値を決める4つのCについて、聞いたことがあるのではないでしょうか。色のついた宝石を鑑定する際には産地などといったほかの要素も考慮しなくてはなりませんが、ダイヤモンドにおいてはColor(カラー)Cut(カット)Carat(カラット)Clarity(透明度)の4つのCが宝石専門家や鑑定家の評価基準になっています。
カラー
無色あるいは無色に近いダイヤモンドは珍しく、その美しさは鑑定家からも高い評価を受けています。素人目には無色透明に見えるダイヤモンドですが、専門家がみるとわずかな色を認めるのです。
カット
世界で売買されるダイヤモンドの80パーセント以上がラウンド・ブリリアント・カットを施されているため、「ダイヤモンドの形は?」と聞かれれば「ラウンド」と答える人がほとんどでしょう。しかし少数派とは言え、ほかにも美しいカットの形があります。ダイヤモンドのカットで人気があるのは、エメラルド、ハート、マーキーズ、オーバル、ラウンド・ブリリアント、ペア、プリンセス、ラディアントの8種類です。カラー・ジェムストーンと異なり、ダイヤモンドの理想とされるカット、形、プロポーションは、不変的なものです。
1919年、ロシアの数学の天才で、強大なダイヤモンドビジネスを手がける一族の一人でもあるマーセル・トルコウスキーは、ダイヤモンドのプロポーションをどのような比率にすればブリリアンスとファイアの最適なバランスがもたらされるかについての自説を発表しました。
カラット
ダイヤモンドはカラー・ジェムストーンとは異なり、最大限のブリリアンス(白色光の反射)、ファイア(虹のようにきらめく光の分散)、シンチレーション(石の表面のきらめき)を引き出す一定の理想の形にカットされます。便利なことにこの一律のカットとプロポーションのおかげで、ダイヤモンドのサイズがわかればほぼ正確にカラット重量に換算することができるのです。
ラウンド・ブリリアント・カットのカラット数
1ミリメートル | 0.01カラット | 2ミリメートル | 0.03カラット |
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3ミリメートル | 0.10カラット | 4ミリメートル | 0.25カラット |
5ミリメートル | 0.50カラット | 6.0ミリメートル | 0.75カラット |
6.5ミリメートル | 1.00カラット | 7.0ミリメートル | 1.25カラット |
7.5ミリメートル | 1.65カラット |
クラリティ(透明度)
内包物は、ダイヤモンドの中に含まれる小さな天然の異物です。内包物はほぼすべての宝石に見られますが、その多くが顕微鏡でしか見えないくらいの物で、拡大してみなくては分かりません。内包物の種類や含有率は宝石によって違いますが、一般的に宝石の美しさを損なうものでなければ容認され、宝石と地球の自然な関係の証しとして好まれることもあります。
GIAダイヤモンド評価システムとは?
GIA(米国宝石学会)が考案したダイヤモンドの評価システムで、現在、世界中でダイヤモンド販売の際に利用されています。
GIAダイヤモンド・クラリティ・スケール
FL | 傷がない。専門家が10倍のルーペで見た時に内包物や傷が認められない。 |
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IF | 内部に傷がない。専門家が10倍のルーペで見た時に内包物が認められないが、表面に微かな傷がある可能性がある。 |
VVS1とVVS2 | ごくごく微量の内包物がある:専門家が10倍のルーペで見た時に、ほとんど見えるか見えないかぐらいの微量の内包物がある。 |
VS1とVS2 | ごく微量の内包物がある:専門家が10倍のルーペで見た時に、小さな結晶や曇り、フェザーと呼ばれる羽毛状のひびなど、ごく僅かな内包物がある。 |
SI1、SI2、SI3 | 微量の内包物がある:専門家が10倍のルーペで見た時に、多少の内包物が認められる。透明度のグレードSI3は、ダイヤモンド業界からSI2とI1の間の差が大きすぎるという声が上がったために作られました。EGL(ヨーロッパ宝石研究所)がSI3のグレードの鑑定書を発行するようになり、ラパポート・ダイヤモンド・レポート(最も権威のあるダイヤモンドの価格ガイド)も価格リストにSI3のグレードを加えるようになりました。 |
I1、I2、I3 | 内包物がある:専門家が10倍のルーペで見た時に、内包物が明確に認められる。 |
PK | ピケ 肉眼で内包物が簡単に確認できる。 |
GIAダイヤモンド・カラー・スケール
GIAの評価システムができるまで、ダイヤモンドのグレードはA、B、Cで表示されました。GIAではそれまでのグレードと区別するため、Dから始めることにしました。
- D、E、F: 無色。珍しく、市場価格も比較的高い。
- G、H、I: ほぼ無色。素人目には値段の高いD、E、Fとまったく同じ色に見える。
- J、K、L: ほとんど気づかないほどの黄色みがあるため、価格が安くなっている。このグレードのダイヤモンドはお買い得と言える。
- M‐Z : 黄色みが強くなり、値引率も高くなる。
通常の色の範囲から外れたダイヤモンドは「ファンシー・カラー」と呼ばれ、ほぼすべての色味(ピンク、赤、緑、紫、黒、青、黄、ほか)がある。
ペア・組
同じカラー、透明度、カットのダイヤモンドがペアあるいは組になっていると、同じ価値のダイヤモンドひとつに比べて、カラット単位の価値が高くなります。ダイヤモンドの希少性からして、同質のダイヤモンドのセットを作るのは非常に困難であるため、ダイヤモンドをばらばらに売るよりも値段が高くなるというわけです。
カラー・ダイヤモンド
現在ジュエリーに使われているカラー・ダイヤモンドは、処理が施されたものがほとんどです。カラー・エンハンスメントといわれる処理は、安全な電子加速技術を使って、混じりけのないダイヤモンドの色を電子衝撃と熱で変化させています。このエンハンスメント処理は、地中でカラー・ダイヤモンドが形成されるときの経過を再現しているのです。GSTVで販売しているカラー・エンハンスメント処理済のダイヤモンドはすべて、認定された国際基準に基づきアメリカで処理されたものです。 ダイヤモンドの他の処理と異なり、カラー・エンハンスメント処理は鮮やかな色の製品を作るためのものです。欠点を隠したり消したりするための技術ではありません。この技術によって作られる無数の色の中には、青、緑、赤、オレンジ、黄、ピンク、紫、黒などがあります。このようなダイヤモンドの真の美しさや人気は、ルビーやサファイアといったカラー・ジェムストーンの深い色合いと、ダイヤモンドの忘れがたい輝きときらめきの両方が合わさっているところにあるのでしょう。言わば、「ふたつの宝石をあわせ持つ宝石」なのです。






コンフリクト(紛争)・ダイヤモンドとは?
コンフリクト・ダイヤモンド(ブラッド・ダイヤモンドとも呼ばれる)は、戦闘地域で、たいていは秘密裏に採掘され売られるダイヤモンドで、反政府勢力や侵略軍の資金源となっています。このようなコンフリクト・ダイヤモンドを撲滅しようという世界的な証明制度であるキンバリー・プロセスは、ふたつの要素からなっています。
- 2000年に40ケ国と国際連合、そしてダイヤモンド業界が、ダイヤモンド原石の輸出入を管理するために採択した制度。2003年1月以降に採掘されたダイヤモンド原石は、闇取引ができないようなコンテナ船で輸送し、政府が認可したキンバリー・プロセス証明書をつけなてはなりません。ダイヤモンド原石の合法的な輸出入は、キンバリー・プロセスに加盟している国のみに許されます。
- 政府の政策に協力するため、ダイヤモンドとジュエリーの業界を代表するWDI(世界ダイヤモンド評議会)が自発的に保証書制度を設立しました。それは、ダイヤモンド(原石、加工済み、ジュエリー)が取引されるたびに、売り手はそのダイヤモンドが紛争と関係のない正当なルートで売買されたことを請求書で証明するというものです。
GSTVは、もちろんキンバリー・プロセスに従っています。