ファンシーサファイアの特性、特徴、希少性、石にまつわる伝説について

ボトルグリーン サファイア
ライムグリーン サファイア
サファイア(ファンシー) 9月の誕生石
原産地 多種
多種
属性 コランダム
硬度 9.00
屈折率 1.76 - 1.78
比重 3.95 - 4.03

太古から、サファイアは世界中の宝石の目利きをうならせ、魅了してきました。ホットピンクからフォレストグリーンまで、サファイアの色のバリエーションはまさに万華鏡のようです。 ファンシーサファイアの独特の色は、鉄、クロム、チタンをはじめとするコランダムに含まれる微量金属によるものです。

チャンタブリサファイア(タイ)

ブラックスター サファイア チャンタブリ サファイア

ブラックスターサファイアは、主にチャンタブリ(バンコクから東へ約245キロメートル)のバン・カー・チャとカオ・プロイ・ワエンで見つかっています。この二つの鉱山はGSTVの工房からほんの7キロほどの場所で、他にも美しいブルー、グリーン、イエローのサファイアが採掘されています。華やかなゴールドの色合いをもつ美しいサファイアは、バン・カー・チャの新しい沖積鉱床から採られ「チャンタブリサファイア」と名づけられたもので、2005年に大変人気を博しました。

ブラックスターサファイアは他のコランダムと違っ て、その色は微量元素や色中心によるものではありません。これはヘマタイトとイルメナイトが離溶したシルクインクルージョンによるものです。このシルクによって、ブルー、グリーン、イエローのサファイアが、深いブラウンやブラックに見えるのです。これは「自然着色」、または「インクルージョン(内包物)による色」と呼ばれます。これは色の要因となるだけでなく、6条のアステリズム(星彩)も生み出します。ブルーやグリーンのサファイアでは、条線は白く見えます。イエローサファイアでヘマタイトが混ざらないと、条線はゴールデンイエローに見えます。現在ではチャンタブリでの採鉱は厳しく制限されているので、ここから産出される最高級のサファイアは非常に珍しいです。実際、採掘量はかなり少ないので、地元市場で取引されているのは、これまでのストックだと思われます。

カラーチェンジサファイア

カラーチェンジ サファイア

カラーチェンジサファイアはあらゆるところから採掘されますが、タンザニアの砂礫層がメインです。カラーチェンジサファイアは、アレキサンドライトやガーネットのような珍しくて美しいカラーチェンジ効果を楽しめるとして、宝石愛好家を魅了しています。変化する色合いは産地によって若干異なりますが、通常はカーキグリーンから赤紫まで変化します。スリランカ産で、紫から赤という特殊な変化を見せるものもあります。

グリーンサファイア

グリーンサファイアは、トロピカルライムからワインボトルの色まで、さまざまなグリーンのものがあります。

パパラチャ&パパラチャカラーサファイア

パパラチャ・カラーサファイア

サファイアは太古から宝石愛好家たちを魅了してきましたが、中でも特に、ミステリアスなパパラチャサファイアは人気が高いものです。

パパラチャは、学名を「ネルンボ・ヌシフェラ・スペシオサ」という種類の美しく有名なハスの花に似ていることからその名がつけられました。

パパラチャサファイアは、その名前にふさわしく、ひとつのジェムストーンにピンクとオレンジの色合いが混じり合っています。パパラチャサファイアの色をイメージするには、熱帯の夕日に静かに染まる海岸で、ゆっくりと燃えるかがり火を前に座っているところを想像してください。そしてハスの花を鼻に近づけてにおいをかぐと、その瞬間にオレンジとピンクが混ざり合うようなオーロラが現れます。それがパパラチャなのです。すばらしくロマンチックで実に魅力的なパパラチャサファイアは、非常に珍しくて美しいので、収集家たちに珍重されています。「パパラチャ」という語の語源は何でしょうか。誤解が多いのですが、現在の「パパラチャ」という語は、20世紀初頭にドイツ人宝石学者の書いた文献からとったものです。「パパラチャ(padparadscha)」は実際には、サンスクリット語とシンハラ語の二つの単語、「パドマ(padma)」と「ラガ(raga)」が変形したものです。「パドマ」はハスの花の意味ですが、「ラガ」は一語で色、魅力、欲 望、リズムという意味を合わせ持っている言葉で す。興味深いことに、もともとの言葉はより広い意味で使われ、古代にはルビーの種類を指していたこともありました。タックラ・ペールー著の中世のプラークリット語(中期インド語)で書かれた宝石学についての文献である『ラーヤーナパリッカ』には、パパラチャサファイアのことが「条線が太陽のように広がり、つやがあり、触るとやわらかい。火のようで溶解した金のようだが、なくならないのが『パドマ・ラガ』だ」と書かれています。見た目はパパラチャサファイアと同じですが、「パパラチャカラーサファイア」は、熱処理の間にベリリウムを加えることで実現した、パパラチャサファイア同様、見事な美しいピンクがかったオレンジレッド色を持つサファイアです。

正確な名称記載については意見が分かれることもありますが、この珍しいジェムストーンの美しさについては、異論がないでしょう。パパラチャはスリランカ産のサファイアだと限定される場合もありますが、今日では、パパラチャサファイアとパパラチャカラーサファイアはマダガスカル、ベトナム、タンザニアからも採掘されると認識されています。どの産地であっても、パパラチャサファイアの特に大きいものはコランダムのなかでも非常に希少性が高く、高価なものです。

ピンクサファイア

マジェスティック・ピンク・サファイア

非常に人気の高いピンクサファイアは、パステルからビビッドまでさまざまなピンクがあり、一番濃いものがルビーとの境界になります。ピンクサファイアの中にはこの境界線の非常に近くにあり、「ホットピンク」と呼ばれるものもあります。カラーホイール(色相環)でちょうど同じポジションを共有しているとおり、赤とピンクは理論上同じ色です。色相の強さや彩度の違いで、赤やピンクになります。どこまでがピンクでどこからを赤とするかは、解釈の問題です。さまざまな業界団体が多数の試みを続けてきましたが、いまだに論議は絶えません。

パープル/バイオレット・サファイア

パープル サファイア

収集家に人気の高いパープルサファイア/バイオレットサファイア(かつてはオリエンタルアメジストとも呼ばれていた)は、蘭の花を思わせる、深い紫色からバイオレットピンク色をしています。

イエローサファイア

イエローサファイア

かわいらしいデイジーのようなパステルカラーから、濃く美しいカナリヤイエローまで、イエローサファイアはそのすばらしい輝きと明るさが有名です。イエローサファイアは美しいだけでなく、黄色のジェムストーンの中でも特に人気が高いのです。天然に産出されるものに加え、熱処理中にベリリウムを添加することで色をより鮮やかにする場合もあります。

スターサファイア

星が明るくはっきりと見えるので、スターサファイアは星彩効果のあるジェムストーンの中でもこれまで一番の人気でした。スターサファイアを見ると、その表面に6条あるいは12条もの星彩が静かに走るのが見えます。このすばらしいジェムストーンはこれまで、その美しさと「アステリズム」というミステリアスな光学的効果のために人気がありました。この「アステリズム」もしくは「スター効果」は、ジェムストーン内に針状のインクルージョン(内包物)が平行して並んでいることによって起こります。スリランカとミャンマーのジェムストーンを含む砂礫層は世界でも有数のスターサファイアの産地ですが、ブラックスターサファイアは、主にタイのチャンタブリ地方とオーストラリアで産出されます。

多くの文化圏で、スターサファイアは恋のお守りと考えられていました。トロイのヘレネはスターサファイアを持っていて、それによって男性を射止めていたと言われています。17世紀のドイツでは、スターサファイアは「勝利の石」を意味する「ジークシュタイン」とされていました。他の場所では、スターサファイアは「運命の石」で、交差する光の帯が信頼、希望、運命を象徴すると信じられていました。スターサファイアは凶眼から身を守るための護符として使われることもよくあり、シンハラ人は魔術を防ぐために使っていました。古代には、スターサファイアは旅人を導く星として特に珍重されました。著名なイギリス人探検家、サー・リチャード・フランシス・バートンは、大きなスターサファイアを護符として持っており、そのおかげでどこへ行っても良い馬が手に入り、迅速な対応が得られると語っていました。実際、適切な対応が受けられた場所でないとバートンはスターサファイアを見せようとしなかったので、ひと目見れば幸運になると信じられていたため、ありがたい恩恵を受けられたのでした。数ある魔除けのジェムストーンのなかでも特にユニークなスターサファイアの力はとても強く、最初の持ち主の手を離れた後も効果が持続すると言われています。

サンセットサファイア

サンセット・サファイア

パパラチャサファイアのようなピンク色はありませんが、サンセットサファイアの美しさに欠けているものは他にありません。深紅と深いオレンジを混ぜ合わせたかのようなアフリカの夕日を思わせるサンセットサファイア(ソンゲアサファイアとも呼ばれる)は、1992年に発見されたばかりです。世界で唯一のサンセットサファイアの鉱床は、ソンゲアの60キロメートル西にあり、マスグル地区がその中心です。サンセットサファイアが見つかったので、ソンゲアはタンザニアでメレラニ(タンザナイトの産地)に次いで重要な採鉱地域となりました。 天然に産出されるものに加え、熱処理中にベリリウムを添加することで色をより鮮やかにする場合もあります。

ホワイトサファイア

ホワイトサファイア

古代エジプト人は、ホワイトサファイアを何でも見えるホルスの目にたとえ、ギリシャでは、アポロ神に関係があるとして、デルフォイの神託に使っていました。古代ギリシャ人は、ホワイトサファイアをエーゲ海のナクソス島から採掘していました。 鉄、クロム、チタンといったファンシーサファイアの色の原因となる微量元素がないホワイトサファイアは、サファイアの原型といえるでしょう。すばらしい輝きと明るさから、ダイヤモンドの代わりとして人気となりました。