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アヒマディ博士のジュエリー講座 Vol.11
宝石の科学―ダイヤモンドの原産地とそのカット(二)

ダイヤモンドの主な産出地

 書籍によれば、ダイヤモンドは古代紀元前4世紀ごろにインドのゴルコンダ(Golconda)地域の砂礫層から発見されたそうです。そして、6世紀から18世紀にわたって採掘されたダイヤモンドはヨーロッパの王室貴族たちに渡りました。その後、1720年代に砂金の採掘がブラジルで始められた際、砂金ではなくダイヤモンドがミナス・ジェライス州で火山岩(ランプロアイト)のパイプから発見され、世界最大の産地となったのです。

 近代において、世界のダイヤモンド年間総産出量は1億カラット以上と推算され、世界20数箇所から産出されます。ダイヤモンドの最大の産出地は南アフリカと思っている人は多いと思いますが、国別に見ると現在5番目あたりになっています。以下に産出量の多い国順に示します。

世界のダイヤモンド鉱山

1位 オーストラリアのアーガイル鉱山

 1982年から本格的に採掘し始め、産出量は世界最大です。(工業用:50%、ニア・ジェム:45%、宝石用:5%)
 ブラウニッシュ・ピンク、シャンペン(淡褐色)、コニャック(褐色)などが特徴的です。

2位 コンゴ民主共和国(旧ザイール)のミバ鉱山、ムブジ・マイ鉱山 

 1950年ごろに、南アフリカを抜き、産出量は豊富ですが、小粒で低級品が多く、立方体結晶の産地として名高いです。

3位 ボツワナのジュワネング鉱山、レトルハカン鉱山、オラパ鉱山

 1980年半ばあたりから始まり、今後20年間にわたり世界のダイヤモンド産出量の30%以上がこれらの鉱山に依存すると言われるほど、良質で豊富な原石に恵まれています。宝石クラスの産出量では、世界第二位と言われています。

4位 ロシアのサハ共和国-ウダチナヤ鉱山、ジュビリー鉱山、ミールヌィ鉱山

 1000以上のキンバーライト・パイプが確認され、大粒で良質な原石が産出されます。特に、ウダチナヤ鉱山は、現在ロシアの総産出量の85%を占めますが、将来の主力はジュビリーそしてミールヌィ鉱山に移行しつつあります。

5位 南アフリカのキンバリー鉱山、プレミア鉱山、フィンシェ鉱山

 19世紀から20世紀半ばまで、世界一の産出量を誇っていました。1888年にデビアス・コンソリデーテッド・マインズ株式会社が設立され、全採掘権を得ました。1905年に、世界最大の3106カラットというカリナン・ダイヤモンドが産出し、100カラットを超す大型ダイヤモンドが300個以上も発見されています。1970年以降は、フィンシェ鉱山が発見され、南アフリカにおけるデビアスの産出量を30%以上も増加させているといわれています。

 また、高品質大粒のダイヤモンドを産出する鉱山としてアンゴラ、 ナミビア、中央アフリカ、シェラレオーネなどの産出国が上げられます。これらの一部の国の反政府ゲリラによる不正輸出が、武器調達の資金源となり、内戦を助長させる一因として国際的な問題になっています。

 新しい鉱山としては、カナダの北部にあるエカティ鉱山が1998年からオープン・カット法による本格的な操業を開始し、年間350 ~ 400万カラットを生産し、世界総産出量の4%に相当します。

オーストラリアのアーガイル鉱山

▲オーストラリアのアーガイル鉱山

▲ボツワナのジュワネング鉱山

▲ボツワナのジュワネング鉱山

永久凍土の下に眠るロシアのミールヌィダイヤモンド鉱山

▲永久凍土の下に眠るロシアのミールヌィダイヤモンド鉱山

1870年代から採掘された南アフリカのキンバリー鉱山

▲1870年代から採掘された南アフリカのキンバリー鉱山

日本でダイヤモンドは産出されるか?

 日本列島は比較的新しい陸であり、古い地殻もなく、ダイヤモンドが生まれる環境ではないと思いますが、一説によると、新生代の初期に九州地方は中国の山東半島に近かったため、流れてきたかけらがある可能性は高いそうです。ダイヤモンドがいつか日本でも見つかるかもしれません。

ダイヤモンドの主なカット

 ダイヤモンドの多くは無色か黄色です。ダイヤモンドのすばらしい輝きを出すための研磨では、硬度が最も大きな障害でした。古代には、原石の形を生かしジュエリーに使用されてきましたが、14世紀半ばになり、初めてダイヤモンドを使ってダイヤモンドを研磨する技術が開発され今日に至っています(“Diamond to Diamond”)。

ローズ・カットの模式図

▲ローズ・カットの模式図

 16世紀の初めごろに、八面体結晶から十二面体結晶が研磨できるようになり、簡単なテーブル・カットからローズ・カットが誕生しました。このドームのようなカットによる煌きはそれほど顕著ではありませんが、19世紀まで流行しました。

 ファセットの全反射によりダイヤモンドの輝きを最大限に引き出すため試行錯誤を繰り返しながら、1910年にラウンド・ブリリアント・カットが実現しました。
 58のファセットから構成されたこのカットは世界標準のカットとなり、光の分散から生まれる虹色のようなファイアはダイヤモンドの美しさの最大な特徴ともいえます。また、ダイヤモンド原石の形や包有物や傷などの位置を考慮し、無駄な削りを避け、オーバル(楕円形)、ペアー・シェイプ(洋梨形)、ハート・シェイプ(ハート形)、両先端が尖がった長円形のマーキーズ・ブリリアント・カットなどが職人たちの工夫と技により作り出され、多様な美しさが現れています。

 最近では、標準のラウンド・ブリリアント・カットのクラウン部にさらに16、パビリオン部に8のファセットが付け加えられた、82面またはそれ以上のカット面が現れ、華やかな姿を見せています。

ダイヤモンドのファセット研磨

▲ダイヤモンドのファセット研磨

ラウンド・ブリリアント・カット

▲ラウンド・ブリリアント・カット

※写真提供:GAAJ(一部)

執筆

阿依 アヒマディ博士 理学博士・FGA

京都大学理学博士号取得後、全国宝石学協会 研究主幹を務め、2012年にGIA Tokyoラボを立ち上げる。現在はTokyo Gem Science社の代表そしてGSTV宝石学研究所の所長として、宝石における研究、教育セミナー、宝石鑑別などの技術サポートを行っている。宝石の研究、鑑別に関しては日本を代表する宝石学者。

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