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イーダーオーバーシュタインの宝石彫刻 第2章 -14-
カメオに新しい風を吹き込む女性作家 —アンドレア・ゾーネ Andrea Sohne —

 イーダー・オーバーシュタインにおける500余年の脈々と受け継がれる彫刻技術の歴史の中で、女性の彫刻家がこれほどまでに活躍しているのは現在と言っても過言ではないでしょう。今回は、独自の視点で全く新しいテイストのカメオを生み出すアンドレア・ゾーネ氏をご紹介いたします。

Andrea Sohne(1967-)アンドレア・ゾーネ

 1967年生まれ。カメオ彫刻家であった祖父の影響で、小さいころからたくさんのカメオに触れて育ちました。また、彼女の父は小動物の彫刻を得意とする彫刻家であり、イーダー・オーバーシュタインの彫刻一家ではよくあることではありますが、とても恵まれた特異な環境で育ちました。彼女はすでに12歳の時に、将来はカメオ彫刻家になりたいと思っていたそうです。その夢を実現させるため、1983年8月にユルゲン·ラインハルト工房に弟子入りし、カメオ彫刻と宝石彫刻を学びます。その後、1986年にはユルゲン・ラインハルト工房の最終審査に合格し、1990年から1992年まで技術専門学校で宝石彫刻と宝石デザインを学びました。その修行期間に、どのように金やシルバーといった金属に石を合わせるかという彫金の視点を学べたことは、この道への自分の心をさらに大きく開くとても大切な経験だったと本人から聞いたことがあります。1992年にマイスター試験に合格し、1993年から彫刻家として製作活動を開始しました。

 彼女は伝統の中にも彼女独自の新しいセンスを取り入れることが非常に得意で、一風変わった新鮮なカメオを見せてくれます。それは、これまでのカメオというイメージ、固定概念を払拭してしまうほどのパワーと魅力を持っています。GSTVのイーダー特集でご紹介しているポップアートを彷彿とさせる斬新なカメオは彼女の作品です。最近では、水晶などの半貴石にカービングを施した作品も制作しています。

ゾーネ氏の工房にて

▲ゾーネ氏の工房にて

代表的な彼女のカメオ作品

▲代表的な彼女のカメオ作品

ポップアート調のカメオペンダント

▲ポップアート調のカメオペンダント

ユニークなジュエリーをトータルプロデュース

 彼女の作品の特徴の一つとして、ユニークさが挙げられます。最近は彫刻にとどまらず、リングやペンダントといったオリジナルのジュエリー制作に力を入れそのユニークさに磨きをかけています。自分が彫刻した作品をどのように身に着けてもらいたいか、それをジュエリーにまで落とし込んで考えている彫刻家と言えるでしょう。これは、ユニークさを追い求める彼女の姿勢と、女性作家ならではの視点によって生み出されるのだと私は思います。

2019年2月展示会で発表した新作の一部

▲2019年2月展示会で発表した新作の一部

現在考案中の新しいリングの試作品

▲現在考案中の新しいリングの試作品

インタビュアー三沢によるQ&A

昨年9月のインタージェムでのインタビューの様子

▲昨年9月のインタージェムでのインタビューの様子

Q. あなたの彫刻家人生において、影響を受けた作品を教えてください。

A. 私がユルゲン・ラインハルト工房に弟子入りしカメオ彫刻を学んでいたときに、ゲルハルド・シュミット氏とエルヴィン・パウリー氏のカメオを見ることがありました。それはとてもユニークで魅力的なカメオでした。今でも強く印象に残っています。

Q. あなたが彫刻をする際に大切にしている想いを教えてください。

A. 私はそれぞれの宝石が持つ最も美しい側面を引き出したいという信念に基づいて仕事をしています。そして、性格や個性と同じように、作品自体やそのイメージがユニークであることをとても愛し、大切にしています。

 長年イーダー・オーバーシュタインの彫刻家の皆さんとお付き合いさせていただく中で、彼らに共通していると感じることがあります。それは、自分の信じた道をひたすらに努力し続け、新しい作品を生み出すことで新しい世界観を作り出しているということです。そしてそれは私にとってとても魅力的なのです。彼女ももちろん例外ではなく、自分の感性に忠実に作品を生み出しています。彼女は、ミュンヘンで開催されるジュエリー見本市や地元イーダー・オーバーシュタインで開催されるインタージェム(2018年12月号ガイド誌掲載)にも出展し情報発信をし続けています。これからもこの番組を通して、彼女の新しい世界観を皆様にお伝えしていきたいと思います。

執筆

ストーンカメオ研究家三沢 一章

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